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8.52020
集成材ダイニングテーブルの修理再生・再塗装
集成材のダイニングテーブルをもう一度きれいにして使いたい。というご要望で始まった今回の修理・再生・再塗装。しっかりとした無垢板のテーブルなので、削ることもできるし、再塗装も可能。一旦お見積りして、ご家族で修理か買い替えかで悩まれたようですが、結果再生して使い続けることに。
最初は削り直しからの再塗装でしたが、急遽、ウォールナット突板で貼り替えての再塗装へ変更。
ナチュラルな仕上げの予定が、重厚感あるウォールナットのダーク系へ仕上げを変更。工程的には途中で突板貼りが必要ですが、これも無垢板ならできること。
既存の古いウレタン塗装は見えにくいですが、かなり木の中まで浸透していて、表面的には塗装が取れてるように見えても、実際には木目の中に残ってます。
引き出しも取り外して古い塗装を落とします。とにかく研磨がこの仕事の50%。
細かなキズなどありますが、今回突板で張り替えるため、とにかく表面の塗装を落とすことに集中。ベルトサンダーでバンバン当てていきます。
次にウォールナットの突板を貼る工程の前に、今削った天板や脚を先にウォールナット系のダーク色で下塗りをします。どうせ突板で貼るなら関係ないのでは?と思いますが、こうした方が突板が透けず、仕上がりに色の深みが増します。
下塗りが完了したら、今度は突板貼り。ウォールナットはそのものが濃い色をしているので、木目を活かす貼り方に気をつける。あえて木の周辺、皮に近い部分の白太を残して貼り替え。より自然な無垢板感をめざしました。
ウォールナット材が持つ色を邪魔しないよう、ここからは透明のウレタン塗装で塗膜を付けます。耐久性と見た目をアップさせるために数回に分けて塗料を塗布します。一度にたくさん乗せるより、間に研磨を入れて何層も作る方が均一かつ塗膜の強さも生まれます。
ウレタン塗装は水に強く、通常のお手入れは水拭きで十分です。ラッカー塗装の場合、水気を残すとそこから白濁しますが、ウレタン塗装は耐水性に優れています。ただ熱い鍋などを直接置くと変色の原因になるので注意が必要です。
強制乾燥はせず、自然乾燥のため時間は掛かりますが、その分木への負担が少なくなります。ただし梅雨時の乾燥には特に注意が必要で、その点で6月〜7月の製作には神経を使います。
いっさい着色しなくても深みが出るのがウォールナット材の特徴。ウォールナットも木によってはもっと赤い材もありますし、黒っぽい材料もあります。こちらはほぼ中間的なブラウン系。
元のテーブルが思い出せない位に完全に別物に生まれ変わりました。それももともと使っている材料が良かったので、こうやって再生ができます。あとメラミン系やポリ板など化け学で作られた素材ではこういったリペアができないので、やはり自然の木というのは良いですね。
前にも書きましたが、遠方より運ぶ運送費と送り返す時の運送費、それに修理する費用を合計すると、新品のテーブルを購入できる予算になります。それでも使い続ける意味が無いと、なかなかリペアには踏み切れないと思います。思い出の詰まった物や、ある人が購入してこれからも使い続けたい、など再生でしか実現できない事もあります。もしそんな悩みがありましたら、まずは写真をメールでお送りください。お見積りからアドバイスまで色々なご提案が可能です。