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6.122019
古い家具鏡台の修理・再生・再塗装:なつかしい桑の座鏡
私はこの座鏡の年代には生まれてませんでした。
お預かりした座鏡の材料やデザインからして
昭和30年頃の座鏡では無いかな?という修理 再生 再塗装です。
お送りいただき状態を確認しました。思っていた以上に痛みが激しい。
鏡部分はかなりデリケートで扱いに注意。
鏡は重たく今の鏡とは違う成分でできてるのがよくわかります。
本当は新品に替えた方が映りはキレイになります。
でもこれはこのままお使い頂いたほうが良いかと思いそのまま。
なぜならこんな鏡はもう二度と手に入りませんので。
さっそくパーツにして塗装前の研磨作業になります。
木目を残しつつ表面の塗装だけ削る。
古い鏡台なので、力の掛け方にはかなり注意しながらの作業です。
長年染み込んだ生活感は木材の奥まで浸透していて
表面を削ってもなかなか塗装は入り込みません。
画像のように塗料を弾き返してしまいます。
これには苦労しました。
それでも何度か塗料を拭いては削ってを繰り返し
やっと塗料が入り込むようになりました。使っている材料が良いので表情は生きていますね。
仕上がった状態がこちら。天板は部分的にはパテ埋めもしています。
若干濃い目の仕上げにさせていただき補修を分かりにくくしています。
中の引き出しも取っ手は再利用させていただきました。
この繊細な取っ手は今では入手不可能。
経年劣化で簡単に折れてしまうのため、取り外し・取り付けもかなり苦労しました。
壊れた丁番も新しく交換。昔の鏡台はマイナスネジを使ってました。
マイナスネジは味わい深いのですが、今回は普通にプラスネジに替えさせていただきました。
鏡と枠を止める横ネジ。こちらも今では手に入らない物。
そのまま流用しました。
完成した座鏡がこちら。
かなりの年代物のため、強度には不安ありますが、大切にお使いいただければ
まだまだ現役で活躍できます。むしろこのような貴重な鏡台は無いので
ぜひこれからも使い続けて欲しい。そんな気持ちで発送完了しました。
前にも書きまして繰り返しです。
修理費以下で新品で安く買える時代です。
そしてメーカーの立場からすると修理・再生は採算度外視の作業になります。
使い続けたいというお気持ちがあれば、私たちはこれからも古い家具を再生して
その思いを引き継いでいきたいと思っています。