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5.112012
木の呼吸。
木は呼吸する。
「スーハースーハー」をイメージするかもしれないけれど
もっともっと長いサイクルでのスーハーで、空気と言うよりは水分と言った方が適当かも。
生きている木なら、光合成で本当に酸素と二酸化炭素を入れ替えするが
私たちの使う木材は、伐採し、乾燥させた材料なので、自然に林立している状態とは違う。
その水分のやりとりで、梅雨時のような湿度が高いときは、水分を取り込んで
逆に真冬の乾燥時には水分を吐き出している。
その出し入れのイメージが呼吸しているという表現になるのだが
取り込んだ時に、木の導管(木目)の中に溜め込まれるだけでなく
木材も同時に膨張し体積が増える。
膨張も長さ方向ではほとんど変わらないものの
幅方向で膨張する。木目と直角の方向に増えていくのである。
だから、引き出しを作るときは冬と夏で作り方が違ってくる。
乾燥した冬場なら、膨張する伸びシロを残した寸法で少しユル目に作るし
夏場の湿度が高い季節なら、逆に冬場の乾燥でもガタツキがなるべくなる位に調整する。
たまに
「じゃぁ、もっとガタガタに作っておけば多少の伸縮も対応できるでしょ。」
と言われるが、これが職人と呼ばれる人の悲しい性で、そのガタつきが気持ち悪いのである。
腕のミセドコロ。
カッチリ感を損なわずに、使い勝手が悪くならないギリギリを求めている。
均一な性質を持たないそれぞれの木にどうやっておとなしくしてもらうのか。
木工職人さんて、見えないところで本当に細かな工夫をしているものです。