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4.172021
モールテックスの製作工程について(裏面もしっかり仕上げます。)
テーブルやテレビボードの天板はまず裏から仕上げます。家具塗装と同じウレタン塗装仕上げ。
頻繁に見ることは無いテーブルの裏側ですが、やはり家具屋としてはここも仕上げたい。なのでモールテックスの施工に入る前に裏面を塗装仕上げします。
※若干モールテックスが付着したり、施工中に動かすときの細かなすり傷が入ることがあります。表面優先のためご了承ください。
モールテックスの施工は基本的に3回塗りです。1回目と2回目は1〜2ミリ程度で塗り重ね、3回目は0.5〜1ミリの薄塗りでモールテックス独特の表情が現れます。これは重ね塗りした時の上下の表情が重なるように見えることで独特の縞目やコテ跡が出てきます。職人の手仕事のため、それぞれのクセがありますが、弊社の天板表情はなるべくおとなしい仕上げを目指しています。
ただ塗り重ねるのではなく、しっかり体重をコテに載せて塗り固めていきます。コテ圧で中に空洞や空気の層を外へ逃して強靭な天板の強度を出します。これがなかなか素人では難しい。長年左官の職にいる人ができる技です。
モールテックスは表面を削ることで密着性と表情があらわれますが、もともとコンクリートの2倍の強度を持つということは、表面も硬いわけで、これがなかなか削らせてくれないという究極のツンデレ材料。そのかわりしっかり研磨ができた後には、世界に一つの独特な模様がうまれます。
モールテックスは最後にトップコートと呼ばれる保護剤を使い仕上げます。保護剤はいろいろ種類がありますが、弊社はビピュールM(マット仕上げ)を2回もしくは3回塗りで仕上げます。汚れ防止や防水性が上がり、長年の使用にも耐えます。ただしモールテックスも100%汚れないということはありません。以前に熱い中華油で汚れが染み付いたという報告をいただいてます。ワインや醤油、コーヒーなどは染み込まなかったのですが、熱せられた油には反応するようです。
モールテックスには専用のワックスがあります。クルマのワックス掛けをやったことある人なら説明不要ですが、柔らかいスポンジや布に薄くワックスを着けて全体表面に塗りつけます。厚くする必要はありません。10分程度時間を置いて柔らかなタオル・ウエス等で表面を乾拭きしてください。それだけでモールテックスの表面はさらに防汚性防水性が高まります。
ワックスは年に1度ほどで十分な性能が保持されます。また1ビンあれば5〜6回はワックスできるので長年モールテックスの性能を維持したい方にはおすすめの商品です。
モールテックスは厳格な施工方法が決められていて、色の調合や水分量などは気温湿度との関係もあり、長年の作業で蓄積された技術と感が性能に現れます。モールテックスで施工不良をたまにサイトで見かけます。工程を省いたり調合を守らなかったり、乾燥時間を守らないなど、いろいろな要因が考えられます。モールテックスは材料が高額で、さらにこれらの工程を積んで作られるため、どうしても価格は安くはできません。が、せっかく長く使う家具であれば、しっかり施工方法を守って製作する会社へ依頼される方が良いと思います。