３月１１日
金曜日、仕事中になんだか立ちくらみと勘違いするかのゆっくりな揺れ。
あまりにも長い波長の地震で、気が付くまでに時間差があった。
揺れがおさまり外に出ると、近所の人たちも一様に道端にいる。
家に戻り、ＴＶを見ると宮城で震度７という数字。
直後の津波のリアルタイムな映像は、見ていて簡単に現実とは
受け入れ難い、悲惨な状況が次々と流れてくる。

静岡にいた幼馴染（３歳から一緒に遊んでいた近所の子）は１０年前に宮城に越していた。
しかも今回津波の映像が流れてくる名取川の近く。
安否を確認したいけど、静岡でさえ携帯電話が不通になる状況で、震災の中心部では
とても電話が繋がる状況ではなかったが、夜にはなんとか家族全員の無事を確認。
生きててくれて本当に良かった。
（でもそれ以降は連絡していません。むやみに回線を使うだけで余計に繋がり難い状況を作り
相手のバッテリーを考えると心配だから連絡すれば良いことでは無いように感じました。）

３月１２日
地震から一夜、翌日の３月１２日は奇しくも私の誕生日。
夜中から早朝とほとんど睡眠をとることも無くＴＶやネットやtwitterから流れる
地震情報を交互に見ながらリアルタイム情報を追っかけていた。
被災地のみなさんの安否はもちろんのこと、地震直後に脳裏をよぎった原子力発電所の
状況が気になってとても眠れる状態ではなかった。
１９８６年のチェルノブイリの事故以降、原子力発電関係の著書が多く出され
関係書を読むたびに、自分の住んでいる日本はとても脆弱な電力供給システムの上に
成り立っている現実を知り、知れば知るほど自分の立っている場所が「沼地」のように
感じられる不安感は今でも記憶にハッキリ残る。
その時読んでいた悪いシナリオが目の前で起こっている現実。
２５年前の記憶が一瞬にして戻ってきた。

３月１３日
誕生日は何も特別なことはしなかった。
被災地で水や食料不足に陥って避難している方々のことを考えると
こうして、水・電気・衣食住が揃っている普通のことがとてもありがたく感じた。
普通であることのすばらしさを気が付けただけでも、忘れることのできない誕生日だったと思う。
今日もＴＶでは福島の話が中心になっている。政府からの発表は、私達シロウトから見ても
曖昧で何か確信を公表したくないという姿にとらえてしまう。
メディアも憶測を追加して情報として流すしかなく、今起こっている現実とどれだけギャップがあるのか
その不安感でいっぱいになる。

でも、この状況の中ですばらしいと思ったのが、避難している人たちのとても落ち着いた行動。
逃げてきた車は校庭や駐車場にまるで交通整理されたかのようにキレイに並び
給水車から配給される水を待つ人も、混乱することなく順番を守り
都会で混乱していた交通網も、どんなに厳しい状況か分からないが
誰もが黙って列を作る。
海外メディアがこの日本人の行動を絶賛し始めているのが、日本人の自分であってもよく分かる。
誰もが厳しい状況の中で他人を思いやることのできる日本は本当に素晴らしい。

この震災は今まで日本が体験したことの無い出来事。
これから徐々に、本当にやらなければならない情報が明らかになるでしょう。
私もそうですが、おそらく日本の誰もが何かの役に立ちたいと思っているでしょう。
そして現実には何が出来るのかと考えると、自分ひとりの余りの無力さに気が付く。
神戸の震災の時、個人的に送る物資などは意外に役に立たない事が分かった。
それより、義援金という形で誰かに託し、現地で今本当に必要なものに変えてもらう方が
大きく役に立つ。　（実際、古着や非常食のカンパンなどは残ってしまうそうです。）
ボランティアで行って配給に並ぶのでは何のために助けに行くのか。
現場に行っても役に立たない私は、プロに任せて今回の震災のために手助けができれば。
とにかく何かの役に立ちたいという今の気持ちを共有していきたいと思います。

今回被災された全ての方の安全と、悲しくもお亡くなりになられた全ての方のご冥福をお祈りします。

■追伸：
悲しいですが、震災の直後から義援金を装ったチェーンメールが届いています。
こんな事態でも人を騙そうとする人の気持ちが良く分かりません。
そんな心無い一部の人がいるから、街頭で呼びかける真面目に義援金の活動をしている人までも
疑われてしまいます。もし、自分が任せても良いと信頼できる人ならそれも良い方法ですが
そうでなければ、国や自治体や病院や銀行などの「窓口」で直接お願いした方が、個人的には良いと思います。